医学用語など科学用語の用語法(Terminology)は、語源に由来する「語幹」を並べたり、接頭辞や接尾辞をつけたりするものです。
たとえば「用語法」は、'terminology'と言いますが、
これは、
termino+logy=語幹(word root)「術語」+接尾辞(suffix)「学問or論」。また
termino=termin(語幹)+o(連結母語)=termの連結形(combining form)
つまり、この言葉は、
(語幹+連結母語)[連結形]+接尾辞という構成になっています。
では、Nature関連の専門分野別の発行雑誌にNeuropsychopharmacologyがあります。
これは、
Neuro/psycho/pharmaco/logy
神経の/精神の/薬の/学問
で、「神経精神(病)薬理学」ということになります
最初の3つはともに「語幹」で、それぞれ最後がoになっているので、「語幹」+「連結母音」=連結形になっています。
ところで、先日「危険な」(言われている)売薬『ガスター10』は、「腹部」「胃」を表す、gasterあるいはgastrからとった名前ではないか、と言ったことがあります。正確には、gastero-が「腹部」、gastro-が「胃」の意味を表す言葉(語幹)の連結形です。ですから、gastrologyというと「胃病学」となります。ところがちょっと面白いのが、
intragastric=「胃内の」です。分解すると、
intra/gastr/icになります。「接頭辞」+「語幹」+「接尾辞」の構成です。
これまでとちょっと異なるのは、gastr/icの部分です。gastroではなく、gastrで、o「連結母音」がありません。これは、以下の「接尾辞」icが母音で始まっているからです。子音が重なっては発音しにくいので「連結母音」が加えられるわけです。
では、問題を一つ。今年のセンター試験でimmunityが注なしで使われていました。これは「免疫」という意味ですね。では「免疫学」はどう綴ればよいでしょうか。ちなみに、2004年に北海道大学の入試(前年に奈良女子大で出題)で出ていたimmune systemは「免疫系;免疫システム」です。
受験では医学用語をそれほど覚えることは求められないかもしれませんが、入学後は覚える必要に迫られることになるでしょう。ただ、医学部にしろ、他の学部にしろ、「語源」を知っておくと役に立つと思います。しかし、だからと言って「単語集」だけで暗記しても、弊害がでるだけです。読んだ英文に出てきた場合に、文章と関連付けて覚えるようにしましょう。
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