クリスマスの祭りというのは、本来キリスト教というよりも、北欧の民間信仰の祭りが取り込まれていることが指摘されてきました。たとえば、クリスマスツリーは、見たとおり「豊穣」のシンボルと言えます。
ドラマ『ラブレター』は、豊穣のシンボルが様々に登場します。
もっとも象徴的なのはこれ:
形状は「半島」=peninsulaです。男性のシンボルと言えます。
今一つ、繰り返し映し出されるのが:
灯台を背景な場面は頻発しています。
東京では「東京タワー」。美波が海司にあげた東京タワーのストラップも大事なイメージになっている。
一方、女性のシンボル:
製作者がどれだけ意識的にやっているかは不明ですが、観る側の無意識にうったえるには実に有効!
同じTBS愛の劇場で、この『ラブレター』より一年半前に放映された『砂時計』。「似ている」と言われていたので観てみなくてはと思い、観てみました。
確かに、恋愛騒動は「流用」といったところで、『砂時計』の原作者からみれば、「盗作」とも言えるかもしれない。ただ、テレビドラマにしたことで、これらを制作した会社(ドリマックス・テレビジョン、TBS)に著作権がある、ということからOKなのだろうか・・・・
ただ、『砂時計』は初恋の成就が主眼で、ヒロインの母の自殺、月島椎香の出生などのテーマはほとんど掘り下げられていない。また、あまりに素朴すぎり結末をどう考えたらいいのか・・・・?
ところで、テレビドラマを小説や戯曲を読む手法でアプローチしているのですが、台本が手に入ると追っかけやすいのでは、ともいます。先日、市川森一さんが亡くなった旨の報道がありました。市川さんはテレビドラマの台本もライブラリーにすべき、ということで活動されていた、と聞いています。データベース化されるとありがたいです。
ついでながら、市川さんの奥さんは柴田美保子さん。中学時代だったか、連続ドラマのヒロインで「あこがれの女性(お姉さん)」でした。
全体の話の流れがよく分からない時点で、この手話の告白の場面を見て、とても印象的だった。
ところで、二人が中学生の時、最初に海司が「美波が好きや」と浜辺で叫ぶシーン、またこの場面で歩道橋が出てくるのは、『オレンジデイズ』のエコーがあるよう思う。ただ、『オレンジデイズ』は、叫ぶのは櫂のみ。
全編を通して、美波から「好き」と言い出すのは3回:
東京に出て初めて島に戻ってきた時
この手術直後
久美子のビデオを見たあと、小学校に海司を呼びだした時
どれも内なる思いの叫びになっているが、この場面はそれこそ『ロミオとジュリエット』のバルコニー並み。『ウエストサイド物語』の物干しの場面、に並ぶか:-)
いろいろなドラマを見ているわけではないのでなんとも言えないが、手話でこれだけ大胆に「愛の告白」(好き!)と叫ぶ、というは斬新だと思われる。
ビデオを見てもらえはいいのだが、このところ教材作りでつかっているムービー・メーカーでスライドショーにしてみました。
美波:あなたに出会ってからもう15年たったんだね。・・・その年月を愛しく思っているけれど、私は前を見て生きてゆく・・・。
美波:私は一人で新しい時間を歩んでゆく・・・
という決意をし、真由美たちと別れて生きることにした海司の「もう一度会いたい」という申し出に、「もう私の耳になってくれる必要はない」とメールして別れを告げて、東京に戻る。
どのくらいの時の経過があったのかわからないが、場面は東京に。
図書館のガラス越しに海司は美波にプロポーズし、受け入れられる。
秘密の島で、二人でこれから幸せになれるように、という願いをする。
年が改まった次の年の春に二人の結婚式。美波は久美子の形見のネックレスをしている。
「別れ」で終わったとしても、二人の再開と結婚は確信できると思われる。その筋を類推でいるのも海司の生き方に故。
岩村さんの死で海司の決断は、結局は美波と二人の強いきずなを守るものだったと思う。もし、あの時点で詳細を美波に話してしまえば、二人ともその現実を前に持ちこたえられなかったのではないか。三年間の空白のあと再開し、ともに事実を確認しながら離れ離れになるところを岩村さんによって誤解が解けたこと。その5年後、美波の個展に向かう時、美波の絵本を海司が置き忘れたことが岩村さんの死の原因になったこと。この二点をとっても、海司が健太にできる限りのことをして初めて二人が向かい合える、ということにもなるのでは。
「後悔しないように」という久美子の言葉に後押しされて、自分の気持ちを海司に伝えにゆく。
海司に会うと、自分の気持ちに嘘をついてきたが、ずっと海司のことを思っていた、海司が好きであることを伝える。
これを言うと、「忘れて」と言葉を残してその場を去るが、海司が後を追い、美波を抱きしめ「俺も後悔したくない!」と。
二人が港までくると、健太、真由美がやってきて、健太が真由美との結婚式に来てくれ、と海司に通訳させる。
美波は「結婚おめでとうございます」というが・・・・
美波を別れた海司は、神社で陸と会い、友達である確認。
海司が家に戻ると、真由美が美波の絵本を持ってきて、これは美波のラブレターだと思う、と言う。
一方、美波は自室で昔のノートを見ながら昔を思いです。
海司は自室で絵本を読む。(美波が絵本を読むナレーションと回想場面が交互に流れる)
二人がそれぞれの部屋で思い出にふける。<回想シーンがかなり続く>
美波が秘密の島に出かける
絵本のあとがきを読んだ後、家を飛び出して秘密の島に向かう。
絵本のあとがきを美波が読む。
美波は、海司の幸せの願いを貝殻にかき、ノートを残して去る。
入れ違いに海司 が秘密の島に当直。幸せの願いとノートを見つけ、涙。
美波の回想のナレーション。15年間の思い出は愛しく思うが、これからは一人でいくて行く、後悔はしない・・・・
そして、いよいよ次回が最終回。
美波は海司との別れを決意している。これは、健太、真由美との海司の生活の幸せを願ってのものだろうが・・・
美波からすれば、真由美の別れて私と結婚して、とは言えない。しかし、海司は迷っている。真由美はどうか?海司の美波への思いを知っている真由美にとって、海司の美波への思いを常に今後感じながら生きてゆくとどんな人生になるのか。そんな思いがあることは十分想像ができるが・・・・
もう最終盤。
葬儀のあと:英治が久美子の思い出を語る。「小さい時にはあんなに泣き虫だった子が、がんの恐怖に最後まで耐え、最後まで笑顔が消えなかった、強くなったものだ。褒めてやらなければ、と思いつつ、言うのをわすれてしまった・・・・」と。
精進落し:海司と美波がしばし見つめ合う。
遥を見送るバス停:
美波:買い物や旅にも行きたかったが、何をしたかったのか知らなかった。そんなことを一回も話したことがなかった。自分のことは言わずに、私を心配ばかりしてくれた。
遥:それは、久美子さんが立派なお母さんだったから
美波:お母さんの声を聞きたかった
ビデオを発見!
久美子お母さんのビデオレター
http://www.youtube.com/watch?v=Ux0OONAYuN8&feature=related
これも「ラブレター」
形見の真珠のネックレス:入れ物の袋は久美子の手作り。英治から結婚のときにもらったもの。美波が幸せになるときにはこれを付けて、というカード。
「後悔しないように」という久美子の言葉で、美波一つの決断を。
一年が経ち、絵本『さるくんとぶたさん』を出版。
かつて個展を開いたカフェで出版記念パーティーを。
パーティー後、帰宅すると裕一から遥に電話。久美子が危篤と。
57回:
美波、遥かと久美子の病院に駆けつける。久美子、美波が来たことを確認するが、また眠りに。
翌日、海司 も真由美、健太とともに小豆島に。実家「つかこし」に帰った海司 は、家族にあいさつし、東京にもどり、仕事を探し、真由美と籍を入れる予定を話す。隼人は島でみんな一緒に暮らすことを提案。
「放蕩息子」が家族に受け入れられる、というところか。
久美子の病院を訪れた海司 は美波と再会。美波は戸惑う。
久美子の臨終の場面。絵本の出版を喜び、裕一、英治、美波に感謝しつつ、逝く。最後は、手話で「ありがとう」。
美波と海司 は二人での再出発を考えるが・・・
島から帰ると真由美が美波を訪れ、海司 の気持ちは美波に傾いていることを認識しつつも、海司 と結婚する意向を伝える。
美波は、再出発を断念し、海司 と真由美と健太でやっていけるように、自分の思いを封印してしまう。健太に「三人でやってゆくためのまほう」を教える(笛を健太に渡す)。
一方、真由美が海司 に「結婚してください」と。海司 は答えず、美波のもとへ。俺たちならやり直せる、というが美波は拒否。これ以上苦しめるな、出会わなければよかった、とまでいう。海司 は真意であることを認めようとしない。もちろん、美波にとっても本心ではない。
病院にもどった海司 は健太の笛の音を聞く。健太は、美波から「この笛を吹けば三人一緒にいられる」と言われたと海司 に言う。健太のスケッチブックには、さる君とブタさんの絵と「幸せになってね」と添え書きが。海司 は涙をながす。
海司 は、真由美の意向を受け入れて、結婚届けに判を押す。
美波は、海司 の幸せを心から願うが、涙が止まらない一夜をひとり過ごす。
しかし、自分のペースで幸せになることをこころに決め、一人で生きることにする。
[秘密の島で一人生きることを決意。衣装はオリーブを連想させる。写真がちょっと大き過ぎるか。]
一方、このころ小豆島では久美子の容態が悪化。
最終回まであと5回に。
美波が海司 と出会って15年、ということを繰り返し言うが、実際に交流があったのは5年間程度。それでも、双方を思う気持ちのリアリティーが強く感じられるのはどこからくるのか?ドラマでは空白期間は描かれていない、ということなのかもしれないが・・・・
ドラマの映像では過去の場面が繰り返し繰り返し流される。このことで見る側は、何度の二人の強い結び付きを焼き付けられるのだが、それが二人の思いと重なっている、ということも言える。